気まぐれ日記 2011年10月


2011年9月はここ

10月1日(土)「爆睡で顰蹙・・・の風さん」
 ビジネススクールの科目「マーケティング戦略」の3日目である。
 ギリギリまで準備を続け、最後に今日提出するレポートの印刷をしながら顔を洗い、階下へ降りて、超高速で朝食を摂って家を出た。レポートは形も不十分な中途半端な出来である。やれやれ。
 行きの電車では、さすがに睡眠不足と疲労で爆睡状態になったのだが、隣の女性にもたれかかったために、突き飛ばされた。ああ、若さが欲しい〜(涙)。
 先週とディスカッショングループがすっかり変わった。先週のグループがとびきり優秀だったわけでなく、今週のグループも優秀だった。確かな知識をベースにきちんとした分析をしている。私はまるで駄目。自分が愚かに見える。何も貢献できない。
 全体討議になっても同様で、なかなかまともな発言の機会が得られない。
 それでも今日は、二つ目のケースが自動車業界に関係のあるものだったので、ちょっとだけ専門知識をひけらかすことができた。しかし、だからといって、評価されるというものではない。経営的な分析と発想が求められているのだ。
 完全に消耗し、フラフラで帰宅した。
 シャワーを浴びて、午前零時に目覚ましをセットして、とにかく少し眠ることにした。

10月2日(日)「日本の将来は明るいかも・・・の風さん」
 目が覚めたら午前2時半だった! 目覚ましのセットは、どうやら午前零時でなく、正午だったようだ。
 これが午前7時だったら「完全アウト」だった。
 なぜかと言うと、二つあるケースのどちらも全く読んでいないのである。
 レポートを課せられている方に取り掛かった(当然だ)。
 読んでいるだけではいけないので、闇雲にエクセルデータをグラフ化し、理解を進めつつ、レポート用の資料も作成する。
 こうして、また昨日の朝と同様に、ちゃんとした手法を用いた分析ができず、最後の具体的な戦略や期待効果も示すことができないまま、出発ギリギリに印刷しながら顔を洗って……ということになってしまった。
 今朝は、行きの電車で爆睡しているわけにはいかなかった。あと一つのケースを全く読んでいなかったからだ。それをひたすら読み込んで、キャンパスに着いてからも、講義が始まる直前まで読んでいた。
 今日の結果も昨日と大差なかった。
 卒業生で明日から社長になるという人がプレゼンをしてくれたが、感動的な内容だった。ここでの勉強がしっかり身についたということだ。すばらしい。
 それに比べて私は、とうとう一人前になることもなく、最初の科目が終わってしまった。
 落ち込みつつ、打ち上げ会場(大衆酒場)へと移動した。
 そこでは元気な若者たちの元気をもらって、何とか次の科目も頑張ろうと思えるようになった。
 それにしても、こういった意欲的な若者たちを見ていると、日本はまだまだ捨てたもんじゃないな、と思う。

10月3日(月)「山本悦子さんのホームページ・・・の風さん」
 やや苦い経験だったが、ビジネススクールの最初の科目が終了し、次の科目が始まるまでの一瞬のスキに雑用を片付けなければならない。今日は、旧職場から研修所に移動しつつ、そして自宅でもひたすらたまっている雑務の処理に追われた。
 しかし、そんなことばかり書いていてもつまらないので、今日は知人のホームページを紹介しよう。
 児童文学の書き手で、最近ノリにのっている、山本悦子さんのホームページだ。
 「おはなし日和」というタイトルである。
 最近立ち上げたそうで、連絡があり、のぞいてみたら、ブログ「山本悦子のひとりごと」が面白い。
 作品しか知らない人が読んだら卒倒しそうな面白い話題がてんこもりである。
 本人は意外と面白いキャラなのです。

10月4日(火)「ドジな私に多作・速筆はできるか・・・の風さん」
 今日は、会社が終わってまっすぐ体育館へ直行した。久しぶりに身体を動かせるとルンルン気分だった。
 ところが、更衣室で着替えようとしたら、……スポーツバッグの中に運動着が入ってなかった!
 下着や裸でトレーニングをするわけにはいかない。
 泣く泣く断念して、また服を身に着け、帰宅した。
 次はドジな話でなく、別の話題。
 毎日超多忙でリアルタイムに書けなかったのだが、先月、1ヶ月だけで楠木誠一郎さんから4冊も新刊が届いた。
 『よろず引き受け同心事件帖 招き猫』(学研M文庫)、『タイムスリップ・ミステリー! タイタニック沈没』(講談社YA!ENTERTAINMENT)、『ぼくたちのトレジャーを探せ3 秘密結社パンドラの謎』(講談社青い鳥文庫)、『武蔵 三十六番勝負D 空の巻』(角川文庫)である。
 すごい、としか言いようがない。しかし、いちおう私も、無謀にも似たことを目指している。……でも、筆がさっぱり進まない。やればできるような気がするのだが、全く着手できないのだ。情けない。
 ビジネススクールで、スピード感も勉強しているのだから、きっとできる。今は信じよう。ドジな私だが。
 
10月5日(水)「会社生活を思う・・・の風さん」
 朝から雲行きが怪しかった。いつ雨が降り出すか分からない。もうあの暑い夏には帰れない。そりゃそうだろう。秋なんだから。
 月曜日に久しぶりに出社してから、ビジネススクールでの衝撃的な体験を、何度も周囲に話し続けている。
 大企業での30年をこえるビジネス経験なんか、一歩会社の外へ出れば、何の役にも立たない。それだけ大企業の中は、厳しい世間に比べたら、無風状態、ぬるま湯、まさに井の中の蛙だったのだ。
 主張すればするほど落ち込んでくる。
 とりあえず博士号を取得し、今回MBAを取得できたら、私の30年の会社生活は少しはカッコがつくかもしれない。
 夜、大学の後輩と食事をした。かつてリクルート活動を一緒にやった好青年だが、もうすぐ50歳に手がとどこうとしている。
 こういうことでも、会社生活の長さを痛感する。
 久しぶりのことだったので、お互いに情報交換したのだが、大企業に勤めていると、部署が異なるだけで、世界が激しく違う。本当は、私の大好きな勤務先は、そんなことはないはずだったのだが、実際は、私の期待を裏切って、とんでもなく風土の悪い職場が存在したのだ。悲しいことだ。
 3時間以上も話し込んで、雨の中、ミッシェルで彼を家まで送り届けた。

10月6日(木)「健康が大事・・・の風さん」
 一夜明けて天気が回復した。男心と秋の空、というのはこういうことを言う。女心じゃないよ。
 昼休みに英語の勉強をはさんで、午前も午後も打ち合わせをした。そして、その合間を縫って、経営学の本を少し読んだ。
 マルチな男は、雑用の部類に入ることは、次々に色々なことをやっている。
 少し退社が遅くなったが、思い切ってトレーニングに直行した。
 今月はこれが第1回目である。
 月末には定期健康診断があるので、何とか良好な体調で臨みたい。胃のバリウム検査もあるし。
 
10月7日(金)「卒業以来の八草キャンパス・・・の風さん」
 旧職場に出社し、同僚と打ち合わせた。
 午後、電車で愛工大へ出張した。
 卒業式以来の八草キャンパスは、学園祭直前だった。社会人学生の3年間、一度も学園祭を見ることができなかったのは心残りだったが、それだけ余裕がなかったのだ。そして、今もまるでない。
 非常勤の仕事でも必要だったのだが、今のビジネススクールでも、最新のOffice2010を皆が使っている。とりあえず、アプリルにインストールすることにした。認証は基本的に半年ごとに更新することになる。常に綱渡り状態の私らしい。
 今日は、ワイフの乳がん検診の再診の日だった。私の胃袋と一緒で、すぐ再診になってしまう。
 幸い、精密検査の結果は問題なしとのことだったので、帰りに、名駅で六花亭のマルセイ・バターサンドをお祝いに買った。
 往復の電車の中で、ようやく明日からの講義のテキストを読み終わった。けっこう大変だった。
 夜、小学館へ『美しき魔方陣』の補充注文メールを送った。
 緊迫した日々が続いている。

10月8日(土)「今頃やっとIT利用?・・・の風さん」
 ビジネススクールの2科目目である。
 1科目目と同様に、予習は十分でない。私は忙しすぎる。
 しかし、Office2010へバージョンアップしたのは心強い。グループ討議でパワーポイントの資料を見せ合うのだが、Office2002の私はこれまで肩身が狭かった。
 さらに今日は、伏見キャンパスで、学内ネットへの接続に初めて成功した。
 これまでアップアップ状態で、キャンパスでネットから情報をとるだけの余裕もなかったが、これからは大丈夫だ。
 今回はブランドと経験価値という難しいテーマになっている。
 ケース研究が、「ボディショップ」と「ロクシタン」という、浮世離れした風さんには馴染みのない世界だったため、大いにとまどった。明日のグループ発表のために、結局、帰りに店を見ることにした。
 「ロクシタン」は高島屋の3階に、「ボディショップ」は名鉄百貨店の2階にあった。
 帰宅して、ワイフに聞くと、「ロクシタンは好きだが、ボディショップは知らない」と言いながら、ロクシタンのオーデコロンを見せてくれた。続いて、次女にも聞いたが、「ボディショップは知っているが、ロクシタンは知らない」と言う。
 うーん。私はどちらも全く知らなかったのだ。
 ビジネススクールで使用しているGメールに初めて接続した。
 (わーっ。けっこう皆が利用している!)
 何をやるにも時間がかかってのろい。それが私のペースらしい。
 
10月9日(日)「2科目目も若い人たちに助けられ・・・の風さん」
 名商大大学院伏見キャンパスは、名古屋の中心部にある。名駅と栄の中間地点だ。
 そんな都会の真ん中とも言うべきところに、猫の母子を発見した。子猫は2匹で乳飲み子である。
 昨日は、駐車場でひなたぼっこしながら、母猫が子猫におっぱいを飲ませていた。子猫は2匹とも母猫と似ていない。父猫似なのだろう。
 今日、講義が終わって帰るとき、3匹でフラフラ歩いていた。
 今日も若い人たちに大きく依存した形でグループ討議と発表が終わった。ほとんど貢献できなかった私は、疲労以上に落ち込んでいた。
 往復の電車の中でテキストを読んでいるが、あまり頭に入らない。
 30年以上マーケティングの不要な会社に勤務してきたので、自分の経験がちっとも役立たないのだ。
 帰宅し、今日もちゃんと英語の勉強をして、あれこれと雑用も片付けたが、まだ山のように残っている。
 それでも限界の時刻になったので、ベッドに入って、宮部みゆきちゃんの小説を少し読んでから、大きく体を伸ばした直後、もう爆睡状態になっていた。

 10月10日(月)「アカデミーパックを3年ぶりにインストール・・・の風さん」
 木金休みの輪番休日が終わって、まともな1週間が始まった。
 旧職場へ出社して、午前中は会議に出、昼食後に本社へ向かった。
 秋の日差しがけっこう強くて、長袖シャツがうっとうしい。
 用事を速攻で片づけて研修所へ。
 慶応大学大学院かた届いた質問状(英文)を点検してから、逆質問を大学院へ送信した。
 今日は体育の日で、娑婆は祭日のため、月曜休館の町の施設はオープンしている。
 トレーニングルームへ直行した。
 7月にトレーニングを再開してから4ヶ月目に突入している。超多忙でも体調を整えておくことはきわめて重要だ。
 ビジネススクールのグループディスカッションでは、プレゼン資料を見せ合うのだが、オフィスのバージョンが古い私は、これまで恥ずかしい思いをしていた。先週末にアプリルに2010をインストールしたのに続いて、今夜は執筆マシンに2007をインストールした。愛工大大学院に社会人入学しているときに購入したアカデミーパックである。
 八草キャンパスと違って、CDからのインストールだったせいか、案外早く終わった。
 執筆も再開したし、これからねじり鉢巻きで、何でも頑張らねば。
 
10月11日(火)「タイムマネジメント破たんか・・・の風さん」
 いよいよタイムマネジメントが破たん気味になってきた。会社員と作家と学生というトリプル人格で頑張っているのだが、それらのどれかが過負荷になると、もういけない。今はすべてが過負荷になってしまった。
 あれこれとやることが多い方が、気分転換にもなって、かえって効率は向上する。
 しかし、何事も限度というものがある。
 こういう場合の私の対策は、思い切って有給休暇を取得するか徹夜するかして、どれかの決着をつけることだ。
 だんだんその決断の時期が迫っている。
 今日は来週の出張のための職場内打ち合わせをしたが、真剣に考える必要性を強く感じた。

10月12日(水)「参考文献の山を抱えて・・・の風さん」
 ビジネススクールでは、参考書の紹介がされ、あらかじめ目を通しておくことが望まれる。
 実際はなかなか難しいのだが、最初から諦めるわけにはいかない。せめて準備だけでも、と思う。
 しかし、ブルジョアではないので、片っぱしから買いあさることもできない。お金もないし、書架もないのだ。
 1科目について、最低3冊以上用意しようと思う。1冊は購入し、2冊以上を図書館から借りるのだ。
 本命は経営学部のある愛工大である。非常勤講師の私は、30冊を60日間借りることができる。
 大学の図書館で借りられない場合は、愛知県内の公立図書館の蔵書に対して横断検索をかける。
 県内7か所の図書館の貸し出し証をもっているので、これらも利用できる。
 本を読むのは決して遅い方ではないが、いい加減に読んだのでは、何の役にも立たない。

10月13日(木)「来年何かが起こる・・・の風さん」
 旧職場へ出社して会議に出、本社へ回って昼食後、ミッシェルの中で英語の勉強をしてから研修所へ向かった。
 それから2つの会議をこなしたが、退社が少し遅くなったため、予定していたトレーニングを断念した。
 週末のビジネススクールの準備をしているうちに、どんどん時間が経過してしまった。
 ふとネットのニュースをチェックすると、中日がヤクルトに4連勝してしまった。
 両者にそれほどの実力差があるとは思えない。きっと勢いの差なのだろう。
 これで、中日がリーグ優勝し、CSも勝って、日本シリーズも制覇したとする。
 優勝記念セールもうれしいが、もっと面白いことがある。
 我が阪神タイガースが意地を見せて勝率で巨人を上回れば、真弓監督が留任するとともに、Aクラスだ。ということは、巨人はBクラス。
 そして、シーズンオフに日本プロ野球界に激震が走る。
 落合の巨人監督就任である(ということは原監督はクビ)。
 そして、今年Bクラスになった巨人が、来年、落合監督の元で、見事リーグ優勝するのである。
 え? 中日はどうなるかって? そんなことはオレの知ったことではない。浅尾さえ好成績を残せればいいのだ。
 ま、とにかく、中日の優勝記念セールが楽しみである。
 
10月14日(金)「久しぶりにトヨタの組み立てラインを見学・・・の風さん」
 雨が降ったりやんだりの秋らしい(でも僕は嫌いな)1日だった。
 ミッシェルで自由ヶ丘キャンパスまで行って、図書室で本を借りた後、大野先生と一緒に出張に出発した。
 トヨタ自動車の高岡工場である。もう10年以上もトヨタの組み立てラインを見ていなかったので、楽しみだった。
 ミッシェル(非トヨタ車)で来客駐車場に着いた私は、外から見えにくい位置に駐車させられた。このへんは旧弊が残っているな。
 プレスラインは見学しなかったが、かつてカローラとターセルの主力工場だった高岡は、今ではヴィッツやパッソなど多様な小型車を生産しており、トヨタ自慢のシングル段取りだが、毎日何度も繰り返される型段取りでは苦労しているのではないか。
 塗装ラインには新技術が適用されたらしく、中塗り、上塗り、クリア塗装までが連続で、途中で本格的な乾燥はないとのこと。やや湿った状態でその上に塗装していくのは、それなりの理屈と技術が必要である。
 ボディを載せた台車の搬送機構がすばらしかった。送られてくると、ローラーで押し出すのだ。台車が軽量化されるのと、台車が来たときだけ駆動すればよいから、省エネにもなる。
 インパクトレンチは電動化されていて、以前に比べて工場内が静かである。当然トルク精度は向上している。
 さまざまな技術が適用されていても、生産量が半減しているらしく、1ラインしか稼働していなかった。
 帰りにミッシェルに給油した。
 夕食後は疲労が出て、早めに就寝した。

10月15日(土)「今夜も徹夜か・・・の風さん」
 昨日の雨がまだ残っていた。
 いつものように電車と地下鉄を乗り継いで伏見キャンパス(名商大大学院)へ向かった。
 1週間あったのに、新しいケース「たねや」の予習が進んでいなかった。またグループのメンバーに迷惑をかけそうだ。
 経営学というか文系の学問って、どうしてこんなに難しいんだろう?
 昼食にいつもの牛丼を食べに行ったら40円値上げしていた。痛い。
 グループディスカッションが長引いた。
 宿題を抱えて帰宅。
 「今夜は徹夜かもしれない」とワイフに覚悟のセリフを吐いた。
 そうでも言っておかないと、ワインのボトルを開けそうだった。
 なぜなら、今日は私の58回目の誕生日だからだ。
 昨夜は長女からメールが、今夜は、ワイフから携帯魔法瓶、次女からはハロウィンのチョコレートセットをもらった。
 午前2時までかかって、グループ発表の分担資料を作成し、それから明日提出のレポートに着手した。
 
10月16日(日)「何とか2科目目をクリア・・・の風さん」
 今回のレポートには、会社員として、そして作家としての知識・経験を反映させることにした。そうでなければ、午前2時にようやく着手して、夜明けまでにできるわけがない。今から調べたり勉強したりしているヒマはないのだ。
 こういう判断と行動も、ビジネス・スクールで学んだ成果になるのだろう。
 とはいえ、完成したのは午前7時だった。
 行きの電車で座れたので、数十分の仮眠をとった。
 その仮眠効果で、元気そうな顔をして教室に入ることができた。
 けっこう気温が上昇し、本当は禁止の、上はTシャツ1枚になる。そういった格好があちこちに見られる。ほとんど老人に近い私はサマにならないが、彼らは全然問題ない。
 夕方、気が遠くなりかけたのを必死にこらえているうちに、やっと全講義が終了した。
 今回の打ち上げはまともな店で、感じが良かった。
 前回同様、作家としての私に興味をもって聞きに来てくれた人がいたので、興味を持ってもらえそうな話をした。
 午後9時に、いよいよ危なくなってきたので、皆より少し早く退出させてもらった。

10月17日(月)「仕事も大変・・・の風さん」
 今日も晴天である。
 T製作所へ出社し、本社へ寄ってから、研修所へ疲れた顔を出した。
 たまっている仕事がべらぼうにある。
 週末の出張のための準備もしなければならない。
 忙しいときほど仕事の効率が良くなるのは自然の法則である。
 さまざまな困難を克服して、何とか退社できそうな状況になったかな……と思ったところへ、またさらに仕事が襲ってきて、そいつもやっつけなければならなかった。
 有料道路を爆走して帰宅してからも、会社と同じ高密度で高効率な仕事を続けた。
 中でも、午前零時過ぎに初めて真剣に科研費申請のルールを勉強し、目の前が暗くなった。暗くなったのをよいことに、就寝時刻だと諦めて書斎を撤収した。

10月18日(火)「世の中勉強になることばかり・・・の風さん」
 地元の新聞の夕刊で、橋幸夫のエッセイが連載されている。ここしばらくお母さんのことが書かれている。
 82歳で認知症が出て、長年一緒に暮らしていた住み込みの家政婦さんを泥棒呼ばわりするようになった。そのあたりからの記述は、まさにうちとそっくりだ。
 感動するのは、九男である橋幸夫が、奥さんの理解も得て、認知症のお母さんと暮らし始めることだ。
 超多忙な芸能人が、一般人と同じ人生を歩んでいたことに驚いた。多忙な芸能人であることは、あらゆる雑事から逃れる口実になるはずなのに、それをしなかった。
 頭が下がる。
 そのエッセイを読むのも楽しみで帰宅するのだが、今日はトレーニングルームに直行した。
 バイクを漕ぎながら、会社の先輩(今は故人)の本を読んだ。生前の先輩を拝見したことがあったので、リアリティをもって迫ってくる。本音で書かれたビジネス体験の貴重書である。勉強になる。
 この本は会社の同僚から借りてきたのだが、欲しくなったので、アマゾンの古本を1円で購入した。

10月19日(水)「当て外れ優勝セール・・・の風さん」
 ちょっと専門的な話になってしまうが、今年、研究者番号を手に入れたので、チャンスがあったら科研費を申請しようと思っていた。
 そして、そのタイミングが訪れたのである。
 怖いもの知らずというか無鉄砲というか、とにかくダメ元で挑戦してみようと(気持ちだけは前向きに)思っていた。
 しかし、応募書類の書き方を勉強してみると、なかなかハードルが高いことが分かった。学術論文を書けるぐらいに研究が煮詰まっていないと、挑戦する資格もなさそうだった。
 それで、昨夜、お世話になっている先生へ、断念メールをお送りした……のだが、どうやらメーリングリストのアドレスだったらしく、宛先に入れた覚えのない私のところへもメールが届いた(^_^;)。
 今日も夢中で仕事をし、午後は旧職場へ出張して会議に出た後、帰りにスーパーに寄った。
 狙いはドラゴンズの優勝セールだった。
 確かに「燃えよドラゴンズ〜♪」と音楽が流れていたが、全店大安売り状態ではなかった。
 日本シリーズに出て日本一になってくれたら、きっともっと大々的なセールになるだろう。

10月20日(木)「エコファクトリーご案内・・・の風さん」
 早朝ミッシェルで家を出て、三重県の製作所へ向かった。今日は、慶応大学大学院の先生や大学院生の方たちにエコファクトリーを見学してもらうのだ。
 定時前に到着し、会社のマイクロバスに同乗して、某ローカルな駅まで迎えに行った。
 先日の台風(12号かな?)のせいで、電車が部分的に不通になっていたのだ。お気の毒だったので、急遽送迎することにしたのだが、古き良い時代のように、この計画変更は融通が利いた。
 会社の仲間の全面的な協力も得られた、綿密に組んだご案内計画だったので、ご満足いただけたと思う。今回は留学生が含まれていて、英語の勉強をする絶好の機会だったが、どうも自信がない。
 昼食をはさんで午後もお相手をし、先生とはまた深く意見交換ができた。
 明日の東京出張のために、あるハードカバーが欲しくて、2軒の書店に立ち寄ったが、目的の本はなかった。
 スケジュールが高密度になっていて緊迫している。
 当面のことは何とかこなせているが、本来計画的にやらなければいけないことが遅れていく。執筆である。

10月21日(金)「久々の東京雨男の巻」
 最寄の駅を6時37分に出る電車で出発した。
 積み重なった疲労と睡眠不足で、往路はウトウトするばかりだった。
 午後のある時間まで、生産技術に関係する講演を聴講した。
 ある講演者に対し「海外の会社に技術を真似られてしまうことについてどう思うか」というのがあったが、その回答に感動した。
「日本も歴史的に見れば「物真似」から始まった。問題はその後のことである」
 これはつまり、日本は真似た技術をベースに必死に改善さらには進化させて、師のレベルを越えたのである。世の中にさらに良い技術を提供して恩返ししたといえる。そのことを先ず誇りに思うべきだ、と言いたかったのではないか。
 所詮物真似し続けるしかない会社には未来はない。
 そして、物真似からスタートして、よりすばらしい技術を開発するようなら、我々も負けないように努力するべきなのである。
 昨日、書店で見つけられなかった本を、講演会場の近くの書店でも探したが、なかった。
 夕方から、ある会社を訪問した。そこで開発された新しい研修プログラムについて、その狙いや考え方を教えてもらうためである。
 同僚と合流して訪問したのだが、とてもフランクに応対してくれて、良い交流ができた。
 夕方からしっかり雨が降り出して、久々の東京雨男の証明をしてしまった。

10月22日(土)「日大工学部で話が弾んだ・・・の風さん」
 定宿で一泊し、東北新幹線で福島へ向かった。
 前回、夜、オフクロの家に着いて、締め出されてしまったため、今回はそれを避けたのだ。
 9時ころ東京駅を出発し、10時半ころ、いつものように郡山駅でレンタカーを借りた。
 最初の目的地は、日大工学部である。
 今日は理事長代行にお目にかかるという重要な目的があったが、なかなか先生がおみえにならなかった。
 後で分かったことだが、学部長のところへ議員が訪れることになったため、同席しておられたのだ。
 東日本大震災からの復興のためには、大学もさまざまな提案をしているし、その実現のためには、政治家を動かす必要があるのだ。
 先生はとても気さくな方で、懐も深く、八方破れの私をも大らかに吸収してくださった。
 話が弾んで弾んでしようがなかった。
 若い助教と大学院生も一緒で、とても不思議な組み合わせのような感じもするのだが、そんなことはなく、ベストマッチである。
 夕方、レンタカーで母の家に着いた。
 母はとても顔色が良く、それはそれで安心したのだが、元気な分だけ口が達者で、認知症の典型的な症状である他人の悪口の連射となり、1時間も聞いていると、こっちの精神がおかしくなりそうだった。
 前と同様に、IH調理器を使って茶の間で焼肉をやった。油がなくて、近所のスーパーでオリーブオイルを買ってきた。焼いているときにそのオイルが飛ぶので、今回は台の上に上を敷き、フライパンにはふたをかぶせた。
 東北新幹線の車中で執筆のための読書をしたので、今夜はその勢いで、徹夜で執筆を……と思ったが、ダメだった。疲労していてガッツが出なかった。
 
10月23日(日)「後味の悪い介護帰り・・・の風さん」
 朝、出がけに母と口げんかになってしまった。認知症だと分かっていても、適当に受け流すことができない。私の愚かな性格のせいだ。
 そんなわけで30分早いやまびこに乗車することができた。
 東京駅から山手線に乗り換え、さらに有楽町で地下鉄に乗り換えて、永田町で降りた。
 今日は国会図書館で資料調査と意気込んでいたのだが、休館日だった(笑)。
 バタバタと仕事をしていると、こういうポカをやってしまう。
 大手町の某所へ移動して、そこで時間をつぶした。
 そして、約束の時刻に、オアゾの4階で出版社の人と会い、打ち合わせをした。
 来年の仕事の相談が成立した。
 帰りののぞみ車中で、執筆中の作品のための資料を読んだ。
 帰ったらすぐやらねば。

10月24日(月)「こんなはずではなかった・・・の風さん」
 昨夜も当然執筆を頑張ったが、疲労が根気を奪っていった。
 それで、適当に切り上げて、今日こそ完成させようと、会社を休んだ。
 午前中は、間違いなく今日中にできると確信していた。
 午後になって、だんだんいつものペースになってきたな、と感じた。つまり、頑張れば頑張るほど緻密になって遅くなっていくのだ。
 夕食直前にミッシェルに給油しに出かけた。
 夕食後、しばらく執筆しているうちに、徹夜しなければできない、だから徹夜して完成させると覚悟を決めた。
 そして、午前零時過ぎになって、まさかという雰囲気になってきた。

10月25日(火)「無茶×無理×無謀・・・の風さん」
 今朝の3時半時点で、徹夜しても原稿が完成しないことが明らかになったので、翌日にかけようと、諦めて就寝した。
 普通の顔をして出社した。
 午前中は会議が二つ。午後から雑用の山崩しに取り掛かった。
 まっすぐ帰宅。
 夕食後、執筆を再開したが、眠くして仕方なくなり、午前零時に書斎の床でダウン。
 わずか1時間の仮眠でゾンビのように復活。
 それから全力疾走で頑張った。

10月26日(水)「1時間の睡眠時間で健康診断・・・の風さん」
 今朝の7時前に原稿を出版社へ送ることができた。ホッとした。
 もう仮眠している余裕はなかった。
 朝食も摂らずに本社へ直行。
 今日は定期健康診断の日なのだ。フラフラで診療所へ向かった。
 2年に1度はバリウムを飲んで胃のレントゲン写真を撮る。今日がその日だ。
 血圧を機械で測ったら、異常に高かった。寝不足のせいか? 
 看護師の方に、ハンドで測ってもらったら、まあまあの値に下がった。
 握力の測定ではガックリした。
 昨年、非常に低い値しか出なかったので、今年は7月頃から、ミッシェルに乗っている時、つまり出社時と退社時にハンドグリッパーで鍛えていた。だいぶ楽になったので、少なくとも昨年より上昇しているはず、と内心期待感に胸をふくらませていたのだが、いざ測定してみると、左右ともに昨年と全く同じ数値になってしまった。もし鍛えていなかったら、もっとひどい数値だったということか。
 バリウム検査を椅子に座って待っている間に、気を失うように眠ってしまった。
 看護師に起こされた(笑)。
 初めてではなかったが、バリウムを飲んでのレントゲン撮影には、けっこうつらいものがある。
 昼休みに市の図書館へ行って、本を借りてきた。
 研修所へ移動し、自分が主催する会議を運営し、その後は眠気に耐えながら、最小限の仕事をした。
 今夜は研修所の戸締り当番だった。
 8時半に最後まで残っていた人と一緒に退社した。
 有料道路をぶっ飛ばして帰宅した。
 もう限界だった。

10月27日(木)「急げ、急げ・・・の風さん」
 少し寝坊してしまったので、有料道路を爆走して時間短縮した。まだまだいけるぞ、ミッシェル!
 今日は14日の出張報告をまとめようと頑張ったが、タイムアウトになってしまった。残りはまた来週。
 帰りにトレーニングに直行した。9日ぶりである。読書しながらバイクを漕ぐことはしなかった。昨日の健康診断結果から、少々のトレーニングでは筋力がつかないことが分かったので、これからは中途半端はやらないし、徐々に負荷も上げていこうと思う。
 今日、週末から始まるビジネススクールの科目を正式にキャンセル(担当教官へメール)した。作家で稼がなければ、来年度の受講費用がない。来年へ向けて作家の仕事を前進させるのが狙いである。
 これにより、今週末と来週末のスケジュールが明確になった。受講をやめてもヒマになるわけではない。

10月28日(金)「見学に行って見逃したもの・・・の風さん」
 14日から名古屋大学付属図書館で「そろばんと和算書の展示会」が開催されている。深川英俊先生の企画で、富山でお会いしたときに教えられた。気になっている和算家の資料が手に入ったそうで、そのコピーもいただけることになっている。
 自分のホームページでも宣伝しているし、知人へも伝えたが、やはり私は力不足である。十分な協力ができなくて、申し訳なく思っている。
 今日は四日市へ出張する用事があったので、やや遠回りだったが、展示会にちょっと顔を出してから四日市へ向かった。
 展示会には興味深い和算書や算額、そろばんが並んでいた。127桁のそろばんは和算家が使ったものだろう。素人受けするのではないか。
 往復の電車で宮部みゆきさんの短編を2本読んだが、疲労がたまっている私は、本を読むだけでも必死の努力を必要とする。
 帰宅したら、新聞に、昨日、益川敏英先生らが恩師坂田昌一博士の生誕100年記念石碑を名大キャンパスに作ったという記事が出ていた。
 わーっ、見てくればよかった〜!

10月29日(土)「出た! お化けか?・・・の風さん」
 名商大ビジネススクールの講義をキャンセルしたのだから、それに見合う成果を出さなければならない。
 今日は、数学史名古屋セミナーがあるので、初参加しようと意気込んでいた。
 しかし、昨日までの様子で、読者は容易に気が付くだろう。
 そう。準備は、今朝から始まった。
 関孝和と建部賢明、賢弘兄弟が完成させたと言われる『大成算経』の読み合わせがメインなので、事前に該当部分を予習しておかなければならない(こちらもビジネススクールみたいだ)。その資料のダウンロードを今朝やったのだ。
 やはり無茶だった。とても太刀打ちできるシロモノではない。
 どうしよう、どうしようと思っているうちに、どんどん時間がなくなってしまい、恥をかくために名古屋へ行くのはやめることにした。出席される多くの先生方に失礼だと思ったからだ。
 次回、もう少し勉強してから参加しよう。
 それから、今日は、同じ時間帯に深川先生の企画された「そろばんと和算書の展示会」の講演会もあったのだが、その時間もなくなってしまった。
 こうなったら、遅れている執筆だ(たくさん取り組んでいるので、どれもこれも皆遅れている)。
 年初からずっと企画提案を保留していた案件に取り組むことにした。
 そう決心したら、急にトイレに行きたくなった。
 (中断)
 出たのだ。何が? 26日(水)に飲んだバリウムが今頃……。
 レントゲン撮影が終わってすぐ下剤を飲んだ。その夜も、もらった下剤を2錠飲んで寝た。
 翌日つまり27日(木)の昼までに出なかったら、病院へ行けと、と言われていた。
 そんな深刻な状況だったらしいのだが、3日目にやっと出たのである(笑)。
 ま、出たからよし、としよう。

10月30日(日)「企画書(案)が完成・・・の風さん」
 天気予報通りに朝から小雨が降っている。
 昼食後、ミッシェルで家を出て、お寺さんへ行った。ずっと贈呈できなかった『星空に魅せられた男 間重富』を持参しつつ、これまたずっと話す余裕がなかった母の病気の話をするためである。
 1時間以上も話し込んでおいとました。
 続いて、図書館へ行って、最近出たアンソロジーのような共著『科学者の本棚』(岩波書店)を寄贈するためである。
 いつも2冊寄贈する。1冊は開架になるが、もう1冊は郷土資料として貸し出し禁止となる。この土地で死んで行く決心をした私は、生きる郷土資料みたいになりつつある……んなわけないか(笑)。
 あと、名大図書館で開催中の「そろばんと和算書の展示会」のポスターを貼ってもらったり、文章サークルの相談をしたりした。
 それから体育館で開催中の町の文化祭、ワイフのトールペインティング教室の展示を見てきた。
 町のルールがうるさくて、せっかく皆で楽しく展示をしても、イマイチ盛り上がってはいけないという。
 それで年々展示が減少してきているらしいが、町の方は気付いていない。愚かなことだ。
 結局、午前2時までかかって企画書(案)を書き上げた。うまく行けば、来年から本格的に執筆に取り組むことになる。
 メール添付で送付してホッとした。
 階下へ降りたらワイフが入浴中だったので、今日のおつとめ、英単語の勉強に取り組んだ。
 夜食にドーナツを食べた。
 結局、就寝したのは午前4時近かった。

10月31日(月)「雲ひとつない青空・・・の風さん」
 昨日の雨が嘘のように朝から快晴である。人生を感じる。心機一転がんばるぞ、と思いながら今日の青空を見上げている人が、どこかにいるに違いない。
 しかし、朝からくしゃみと鼻水が止まらない。花粉症だ。ちゅうちょなく強力な薬を服用した。
 旧職場から研修所へ、途中で雑用(英語ではchore)も済ませながら、無事に移動。
 先週の木曜日に途中までしかできなかった14日の出張報告の続きをやった。
 この報告書はけっこう重要な内容を含んでいるので、力を入れてまとめた。
 今朝飲んだ抗ヒスタミン剤の副作用が感じられなくなった頃、安心して退社した。
 昨夜というか今朝未明に某出版社へ企画書を送付したことで、年内の執筆計画が明瞭になってきた。今度の週末上京して資料調査をする予定なので、それを確実にこなせば、無茶・無謀・無理で進めてきた作家活動計画の実現性がかなり高まることになる。
 既に深夜。外は真っ暗だが、脳裏に今朝見上げた秋晴れの空がよみがえった。

2011年11月はここ

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